家庭用の一般電話とビジネスフォン(ビジネスホン)との設備面での大きな違いの一つは、主装置の有無です。家庭用電話の場合には電話機にそのままモジュラージャックを差し込むだけで電話がつながりますが、ビジネスフォンの場合には主装置に電話をつないで設定作業を行わなければなりません。
主装置の配線や設定は専門的な作業になりますし、作業を行うためには工事担任者という専門資格が必要ですので、一般の方が実査に作業をすることはまずありません。しかしながら、どういった設定が行われているかを知ることには意味があります。
今回の記事では、ビジネスフォンの主装置の設定について、主装置の機能とあわせて紹介します。
▶目次
1、主装置の機能と役割
主装置の機能について紹介します。
主装置とはどのようなもの?
ビジネスフォンを設置する際に、電話として使用できるようにするためには、主装置の設置が必要です。
主装置とはいったいどのようなものかといえば、外線と内線、あるいは内線間をつなぐ交換機の役割を果たす機器のことです。最近では、主装置をインターネットクラウド上に置く、クラウドビジネスフォンも登場していますが、アナログ回線であれ、ISDN回線、IP電話は、オフィス内の主装置を経由することによって、外部の電話と通話できるようになります。
さらには、各ビジネスフォン子機に個別の電話番号や内線番号を付与して認識し、留守番電話や着信拒否、IVRなどの機能も主装置にて設定されます。電話機だけではなくて、複合機やFAXとの接続も可能です。
主装置のサイズ
例えばNTTでは主装置のサイズがS、M、Lと3種類あります。メーカーによって多少異なりますが、接続できるビジネスフォンの子機によって、サイズがわかれているのです。当然、サイズの大きな主装置の方が単価は高くなりますが、主装置を選択する際には中・長期的な視野に立ってサイズを選択しましょう。
オフィスの業務拡張などにより、拡張を行いたいときに主装置のキャパをオーバーしてしまった場合には、主装置を交換しなければならず、大掛かりな工事が必要になります。
収容ユニット
主装置には以下のユニットを収容します。ユニットとは基盤のことで、主装置の機能を果たすためのものです。
- 電源ユニット
- 外線ユニット
- 単体電話ユニット
- 内線ユニット
- 拡張ユニット
各PCパーツに電力を供給する基盤
アナログ局線・ISDN・VoIPなど回線の種類に応じて外線を使用するための基盤
FAXや受付用電話機などをビジネスホンに収容するための基盤
電話機を増設するためのユニット
留守番電話、ボイスメール、構内放送など、ビジネスフォンのオプション機能を拡張するための基盤
主装置の内部には、これらのユニットを差すためのスロットがついています。厳密には、これらのユニットの一つひとつの設定を行うことによって、ビジネスフォンが機能を果たすことになります。
2、主装置の設定作業
ビジネスフォンを設置する際の主装置の設定作業について解説します。具体的には、回線の配線作業とデータ設定作業を行います。
配線作業
配線作業は大きく2種類あります。外線と主装置の配線と、ビジネスフォン子機と主装置の配線です。
まず、主装置と外線との接続方法ですが、主装置にはモジュラージャックがありません。外線ユニットに専用のコネクタを使用して接続をします。
各ビジネスフォン子機と主装置は内線ユニットを使用して接続します。内線番号・電話番号を希望の通りに使用するためには、正しい接続位置に差し込まなければなりません。
ユニットのデータ設定
ユニットのデータ設定は、主装置に接続したPCもしくはビジネスフォン子機にて設定を行います。
ボタンの割り付けや鳴動設定、留守番電話設定など用途や機能にあわせて設定を行っていきます。
部署ごとに着信音の設定を変更したり、留守番電話に切り替わる時間を設定したりするなど、細かな設定作業をおこなうことができます。
オフィスの担当者としては、導入するビジネスフォンにどのような機能が備わっていて、その機能を自社にどのように活用できるかをイメージしておくと、電話工事業者に設定の依頼がイメージしやすいかと思います。
3、まとめ
この記事では、ビジネスフォン(ビジネスホン)の主装置の機能や役割と、その設定方法について解説しました。
主装置は、ビジネスフォンを使用する上で基盤となる部分であり、ビジネスフォンにとって最も重要ともいえる部分です。それだけに、設定が非常に複雑で、専門の工事担任者の資格を持った業者スタッフの作業が必要となります。
オフィスの担当者としては、主装置の基本性能とオプションで設定できる機能を把握して、自社にどのように活用したいかのイメージを膨らませておくことが重要です。また、電話番号のグループ分けや留守番電話への切り替え時間などもあらかじめ主装置で一括登録しておくと、その後のビジネス効率が向上します。